
開催の目的・背景
「サーキュラー」より「楽しい」を入り口に
サーキュラーエコノミーって、正直、一般市民からすると小難しくて分かりにくいですよね——ごみの学校・東野陽介さんは、そう率直に語ります。環境や循環にまつわる活動が、どれだけ意義深くても、言葉だけでは届かない。だからこそ東野さんが重視したのは、概念の前にまず「楽しい」「やってみたい」という実感を届けることでした。
ごみの学校は、亀岡市から受託した「めぐるひろばプロジェクト」のもとで、リユース・リペア・環境学習の三本柱による月次イベントを構想していました。リペアの場では「直し方を教える人はいるけれど、直すのは自分」というスタンスを大切に、壊れたものに自分の手で触れてみるという体験の場づくりを心がけています。
そうした活動を進める中で出会ったのが、映画『リペアカフェ』。修理を通じたコミュニティのあり方と、ものとの向き合い方を描いたこのドキュメンタリーは、ごみの学校が体験を通じて伝えようとしていることと深く重なりました。知識を教えるのではなく、映画を「対話の装置」として使うことで、関わる行政担当者や地域のキーマンと同じ視点・空気感を持てるきっかけをつくりたい。その思いから、2024年11月にサーキュラー亀岡ラボで上映会を開催しました。
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開催概要
| 主催 | ごみの学校 |
| 開催日 | 2024年11月26日 |
| 会場 | サーキュラー亀岡ラボ |
| 企業・団体名 | 株式会社ごみの学校 |
| 所在地/業種 | 京都府亀岡市/教育、コンサルティング |
| 事業内容 | ごみに関する教育・啓発/企業、自治体向けコンサルティング/資源循環に関するコンテンツ開発 |
| 開催形式 | 上映+ディレクター瀬沢によるトーク・Q&A+感想共有・対話 |
| 参加人数 | 約20名(上映会) |
実施内容
1. 上映
まず招待したのは、地域に根差した「土の人」——地域のキーマンや亀岡市の環境部長をはじめとする行政担当者たちでした。「最初にビジョンを共有できる人を巻き込むことで、深い関わりが生まれる」そう東野さんは話します。上映後の動きにつながる関係性を、この場で事前に育てることを意識し、招待を行いました。
2. ディレクター瀬沢によるトーク・Q&A
映画を制作したディレクター瀬沢から映画の制作背景やオランダのリペアカフェの実際の様子や誕生した背景、実際にどのように運営しているのか等についてお話しさせていただきました。リペアカフェ発祥のオランダ・アムステルダム在住の視点と日本の視点を往復しながら、欧州を手放しに賞賛するのではなく、日本や亀岡の良さを生かしながら双方が学べることがあるという話を通して、亀岡でのリペアカフェ実施に向けた前向きな声が生まれました。
3. 感想共有・ダイアログ
参加者同士で感想を共有し、「修理とコミュニティ」「ものとのつきあい方」について対話しました。「直せるかどうかより、自分で触れることに意味がある」という世界観を同じ映像体験を通じて共有することで、「こういう空気感を作りたいんだ」という共通認識が、行政と市民の間に自然と生まれていきました。
4. 上映後に始まった、月に1回の「リペアカフェ」体験
上映を機に、「めぐるひろばプロジェクト」の一環として月1回のリペアカフェを正式にスタート。建具職人、元洋裁師、電子メーカーの元エンジニアなどのプロフェッショナルが集まりますが、彼らの役割は「直す人」ではなく「直し方を教える人」。「直せなくていい。自分の手でものに触れてみることで、家に帰った後のものの見え方が変わる」——そんな体験の場を目指しています。
参加者の反応・アンケート
「映画を観て、『コミュニティじゃなくていい』という感覚がすっと腑に落ちた。決まったメンバーが集まる場ではなく、誰でも立ち寄れる街の機能として修理の場があるといい」(地域のキーパーソン)
「同じ映像を見ることで、『こういう空気感を作りたいんだな』という感覚が参加者の間で揃った。言葉で説明するより、ずっと早く伝わるものがあった。我々がやりたいことのイメージが具体的に掴めた」(行政担当者)
「上映会の後、自分が関わっている別のイベントにもリペアカフェとして来てほしいと声をかけた。何かをきっかけに行動したくなる気持ちが自然と生まれた」(地域の参加者)
開催後の効果
特別なイベントから、誰もが頼れる「街のインフラ」へ 「お母さんに言われて来ました」と、地元の中学生が当たり前のようにスクールバッグを直しに訪れる。コーヒーを飲みにふらっと来る近所の方。月に1回、20〜30名が集うリペアカフェは、特別な意識なく利用できる「街の機能」として地域に定着し始めています。
キーマンを起点とした、有機的な人の輪の広がり 最初の上映会に参加した地域のキーマンによる口コミで、広告や告知に頼らない自然な形で新たな参加者が集まるようになりました。固定のコミュニティではなく、「入れ替わり立ち替わり、毎回来る人が違う」というゆるやかさが、多様な人々を惹きつけています。
ものの「見方」が変わる体験が、循環への入り口に 「蓋を開けてみたら、『案外簡素な作りしてんねんな』ってわかる。その探究心が楽しいんです」と東野さんは語ります。修理の場は、技術を学ぶだけでなく、ものの構造を「知る」面白さ、手で触れる「感覚」を取り戻す場でもあります。参加後にあった「家でのものの見え方が変わった」という、サーキュラーエコノミーへの一歩と言えるような変化もありました。
企業と地域をつなぐ新たな接点に 月1回のリペアカフェには毎回、市外の企業を招き、サーキュラーシティ亀岡への関わりを深めるきっかけを作っています。アウトドアブランドのリペアチームがその場でものを直しながら参加者と交流するなど、リペアカフェが企業と地域をつなぐ「関係人口」の接点としても機能し始めました。
担当者の声
ごみの学校 副代表
東野 陽介 様
「僕らが目指しているのは、特定の人が集まる『コミュニティ』ではなく、誰でもふらっと立ち寄れる『街のインフラ』です。『コミュニティじゃなくていい』『毎回来る人が違っていい』——そのゆるやかさがあるからこそ、多様な人が自然と集まる。 リペアはあくまで方法のひとつ。大切なのは、壊れたものを自分の手で触れてみるという体験です。『直せなくていい』んです。その体験がものの見方を変え、街に帰った後の暮らしをじわじわと変えていく。そんな視点を獲得できる場を、これからも亀岡のインフラとして育てていきたいと思っています」

| 企業・団体名 | 株式会社ごみの学校 |
| 業種 | 教育、コンサルティング |
| 事業内容 | ごみに関する教育・啓発/企業、自治体向けコンサルティング/資源循環に関するコンテンツ開発。 |
| 関連サイト | https://gomischool.studio.site/ |
