映画概要

「修理したいのはモノだけじゃなかった。」

お店では修理を受け付けてくれない壊れた家電や服、自転車など、あらゆるものを地域のボランティアが無料で直してくれる、
オランダ発祥のリペアカフェ。実は彼らの役目は、モノを修理するだけではない。

離れ離れになった家族の「思い出」、疎遠になりつつある地域の「コミュニティ」、
捨てることを前提に成り立つ消費社会の「システム」…

リペアカフェにはどのような人とモノが集うのか?壊れかけた「モノ以上のもの」を直す人々の物語がここにある。

あらすじ

映画『The Repair Cafe』は、オランダで生まれた「リペアカフェ運動」を追ったドキュメンタリー。
その制作背景を紹介します。

あなたの周りに眠っている、壊れたままのものはありますか?

ほつれたニット服、ひび割れたタブレット、小さい頃に遊んだおもちゃ……それぞれに思い出やストーリーがあるでしょう。

しかし、大量生産・大量消費が前提となる社会では、私たちは、気付けばモノが壊れたら新しいものに買い替えるのが当たり前になっています。お店で修理を頼むよりも新品を買う方が安かったり、自分で修理するのが難しかったりすることもあります。

そんな壊れた家電や服、自転車など、あらゆるものを地域のボランティアが無料で直してくれる場所があります。
その名もRepair Cafe(リペアカフェ)。

IDEAS FOR GOODが贈る、初のオリジナルショートドキュメンタリー『リペアカフェ』は、そんなリペアカフェ発祥の地であるオランダ・アムステルダムを舞台に、彼らの活動に密着。その中で生まれたコミュニケーションから、私たちの身の回りにあるモノと人との関係性や、真の豊かさを見つめ直します。

ディレクターからのメッセージ

アムステルダムのリペアカフェを初めて訪れたのは、2022年秋にオランダを旅行しているときのことでした。そこに来ていた車椅子のおじいさんが取り出したのは古い壁掛け時計。故障を調べている修理人を見たとき、「彼らが本当に直しているのはモノだけではなく、思い出なのかもしれない」と私は考えました。

一年後、アムステルダムで暮らし始めた私はリペアカフェでの撮影を開始しました。すると「思い出」だけではなく、孤独が問題となる都市の「コミュニティ」や、競争と消費が無限に拡大していく「社会のあり方」など、多くの「モノ以上のもの」を彼らは“修理”しようとしていることに気付いたのです。本作品では、そうしたリペアという営みから生まれる多様な価値を映そうと試みました。

制作中、私もリペアカフェに影響され、画面の割れたスマホや壊れた腕時計を自分で修理しました。修理という行為には、創造力が試されます。そして、修理をしたら「3年前に買った型落ちのスマホ」が「自分が修理した大切なスマホ」に変わりました。リペアカフェで出会った人たちは、今では大切な友人になっています。

この作品が、自分の身の回りのモノへの見方が変わったり、モノにまつわる誰かのことを思い出してもっと大切に思えたりする、そんなきっかけになれたら幸いです。

瀬沢 正人

(IDEAS FOR GOOD編集部 クリエイティブ・ディレクター)

オランダ・アムステルダム在住。サステナビリティやサーキュラーエコノミー領域で映像制作、リサーチ、企業や行政との共創プロジェクトを手がける。
監督作『リペアカフェ』は、企画・撮影・編集・翻訳を一貫して担当し、2025年アムステルダム地域映画祭にノミネート。NHK WORLDや日経新聞でも紹介され、多様な場で200回以上上映、累計1万4千人以上が視聴。大阪・関西万博では経済産業省主催展示に採用された。
電機メーカーやアパレルブランドと協働し、循環型社会に向けたストーリーテリングやリペア文化の社会実装に関わる。ジャーナリストとしては、フィンランド環境大臣など欧州の政策担当者、研究者を取材。デンマークのフォルケホイスコーレ卒業生。アムステルダム大学夏期コース Circular City 修了。

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