
開催の目的・背景
修理は“裏方”ではない──
日立製作所・サーキュラーデザインチームが描く世界観を共有したい
「修理は、もっとかっこよくていい。」
そんな想いを胸に、日立製作所 研究開発グループ デザインセンタのサーキュラーデザインチームは、“修理を表舞台に出すこと”をテーマに活動していました。
彼らが開発しているプロトタイプ「なおスト」は、修理の様子そのものをストリーミング配信するという新しい試み。裏側に隠れがちな修理やメンテナンスの創造性や技術力を可視化し、「修理ってこんなに面白い」「自分でもできるかも」と感じてもらうきっかけをつくることを目指しています。
ただ、研究開発部門としてこの取り組みを展開していくためには事業部門との連携が必要。社内に修理が持つ価値や楽しさを共有し、その”世界観に共感してくれる仲間”を社内の事業部門から見つけることが、最初の大きなチャレンジでした。
「採算性や事業計画を検討する以前に、“こういう社会を目指したいよね”という世界観を共有した上で議論をする上で、『リペアカフェ』は力を発揮してくれると思います。」
──曽我 修治様(日立製作所 研究開発グループ デザインセンタ)
“修理がつくるコミュニティ”のあたたかな空気、ものと向き合う時間の豊かさ、静かな誇りやかっこよさ。それらが「修理はかっこいいものだ」というサーキュラーデザインチームの考え方と重なり、社内での上映会実施に至りました。
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開催概要
| 主催 | 株式会社日立製作所 研究開発グループ デザインセンタ サーキュラーデザインチーム |
| 開催日 | 2025年3月13日 |
| 会場 | 虎ノ門ヒルズ インキュベーションセンター ARCH |
| 企業名 | 株式会社日立製作所 |
| 所在地/業種 | 東京都/社会インフラからデジタルサービスまで幅広い領域で事業を展開する総合電機メーカー |
| 事業内容 | IT、インフラ、エネルギー、社会インフラ、モビリティ、産業機器など、社会の基盤を支える幅広い分野でビジネスを展開。サーキュラーデザインチームは地域循環社会への貢献を通じて新事業の可能性を探索している。 |
| 開催形式 | 上映+ディレクター瀬沢によるトーク・Q&A+ディスカッション |
| 参加人数 | 約30名 |
実施内容
上映会は「①映画上映 → ②ディレクタートーク・Q&A → ③感想共有・ディスカッション → ④活動紹介・交流」という4ステップで設計しました。約2時間のプログラム全体で、参加者が「感じる → 知る → 話す → つながる」という体験の流れを意図的につくったことが、深い気づきと対話を生む鍵になりました。
1. 上映
「サーキュラーデザイン」「修理・リペア」のキーワードに関心を持った、日立グループ各社の約30名が参加。「修理はかっこいい」「なおすことは豊かさだ」というメッセージを深く届けました。
2. ディレクター瀬沢によるトーク
上映後、オンラインで登壇した本作ディレクターの瀬沢より、「リペアカフェ」の制作ストーリーや、国内外におけるリペアを取り巻く現状、さらなるリペア文化の浸透・普及に向けた兆しについてお話ししました。日本におけるリペアの定着における課題や、欧州でのケーススタディ、ドキュメンタリー制作の裏側など、質疑応答も行われました。参加者からは「トークセッションがあることで、より映画の内容の理解が深まった」とのコメントもありました。
3. 感想共有・ディスカッション
「リペアカフェを日本で導入するにはどんな形があり得るか?」「どのような製品がリペアと相性がいいか?」「誰を巻き込むと良さそうか?」などをテーマに議論。映画で揺さぶられた感情が、自社・自部門の課題に直結する具体的な対話へと発展しました。
4. デザインセンタ・サーキュラーデザインチームの活動紹介
最後に、主催者であるサーキュラーデザインチームより、リペアに関する活動内容の紹介がありました。武蔵野美術大学 岩嵜研究室との共同研究の末、リペアが生活に根付くための観点についての提言や未来シナリオをまとめた冊子『リペア社会をデザインする』のほか、修理・保守作業をストリーミング配信する「なおスト」などの取り組みが紹介され、日立グループにおけるリペア・サーキュラーデザインの推進を念頭に置いた情報交換・連携に向け、社員同士の交流が行われました。

参加者の反応
「家電の修理を行う部署にいます。修理を通して、お客様の心を治すことのできる部署であり、とても価値の高い仕事だと感じることができました」(家電の修理/アフターサービス担当)
「自社でも保守や修理を生業としています。修理が果たす役割について見直す良い機会になりました」
(システムソリューション領域・技術責任者)
「修理にポジティブなイメージを持ってもらえて、モチベーション向上につながると感じました。マネジメント層も含め、同じ部署の全員に見てほしい」(家電の修理・アフターサービス担当)
「事業部門でも上映会と対話をしたい」(システムソリューション領域・マネジメント層)
「修理でモノを直すだけでなく、コミュニティを直すという考え方がもっと日本でも広まってほしい」
(サステナビリティ推進担当)
「作る側にも『修理可能な製品を作る責任』がある。工場に意見を伝えられる部署にいる身として、『修理しやすさ』を意識したいと思いました」(家電の修理・アフターサービス担当)
「『欧州は進んでいて、日本は遅れている』と考えがちですが、リペアの様々な実例を見ることができ、サーキュラーエコノミーが夢物語ではないと思えました」(家電事業・事業戦略担当)
開催後の効果
修理・保守部門での追加上映と、継続的な連携へ 今回の上映会をきっかけに、保守・メンテナンスを担うグループ会社でも追加で上映会が実施されました。現場からは「自分たちの仕事の意義に改めて気づいた」「仕事への誇りを思い出した」という声が届き、サーキュラーデザインチームと保守員との継続的な意見交換へとつながっています。
上映会をきっかけに、問い合わせと対話が生まれ続けている 保守・メンテナンスを手がけるメンバー自身からも、「自らの仕事の意義に改めて気づいた」という前向きな変化が生まれた。上映会後、「なおスト」や修理の取り組みに興味を持った社内外の方から、意見交換を求める問い合わせが継続的に届くようになりました。さらに、過去にIDEAS FOR GOODに掲載された日立製作所・サーキュラーデザインチームの取材記事が、上映会をきっかけに改めて注目され、それを見た社内の方からの問い合わせもあったといいます。上映会は「一度きりのイベント」ではなく、関心を持つ人をつなぎ続けるハブとして機能しています。
担当者の声
株式会社日立製作所 研究開発グループ デザインセンタ
曽我 修治 様(ビジネスデザイナー・デザイン研究者)
修理って、実はとてもかっこいいものだと思うんです。でも、それがなかなか伝わっていなかった。「採算は取れるのか」「事業になるのか」という問いの前に、まず「なぜ修理なのか」という世界観を共有することが大切だと感じていました。 映画「リペアカフェ」はその入口として、自然に機能してくれます。上映後は対話が生まれますし、修理に関わる人たちの誇りがふっと立ち上がる瞬間があります。 修理そのものには、マインドフルネスのような側面があると思います。壊れた家電を直すとき、時間はかかるし手間もかかる。でもその過程で「ものと向き合う」時間が生まれる。私たちはそれを “なおすフルネス” と呼んでいますが、忙しい日々の中で本当に大事な価値だと思っています。 その後、保守やメンテナンス部門でも上映会を開いたのですが、「自分たちの仕事の意味を思い出した」という声が次々に届きました。正直、その反響が一番嬉しかったです。 30分だけでも立ち止まって、ものと自分自身に向き合う時間をつくる。その豊かさを、もっといろんな場所に届けていきたいと思っています。

| 企業・団体名 | 株式会社日立製作所 |
| 業種 | 社会インフラからデジタルサービスまで幅広い領域で事業を展開する総合電機メーカー |
| 事業内容 | IT、インフラ、エネルギー、社会インフラ、モビリティ、産業機器など、社会の基盤を支える幅広い分野でビジネスを展開。サーキュラーデザインチームは地域循環社会への貢献を通じて新事業の可能性を探索している。 |
| 関連サイト | 「Hitachi circular design」note |
